医師が明かす ストレスに強い人、弱い人の決定的違い【前編】

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医師が明かす ストレスに強い人、弱い人の決定的違い【前編】
どんな人でもストレスはつきものですよね。
ですが「あの人はいつも大変そうなのに、ストレス無さそう…。」
なんて思うことはありませんか?

今回、『ストレスに強くなる3つの習慣』を皆さんにお伝えしたいと思います。

約9割が「自分はストレスに弱いと感じる」

「あなたは自分がストレスに強いと思いますか?」と訊いたところ、
以下のような結果が出ました。
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約9割の人が"ストレスに弱い"と感じているようです。
周囲を見渡してください、はい、ほぼ全員ですね。

ストレスはやっかいなもので、自分では気付かなくても体調不良になったり、
少しづつ溜まってしまうものですよね。

ストレスに強い人と弱い人の違いは?

では、ストレスに強い人と弱い人の違いはどこにあるのでしょうか。
吉野聡産業医事務所代表・新宿ゲートウェイクリニック院長で精神科産業医の吉野聡さんにお話を伺いました。
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ストレスに強い人と弱い人の違いは「出来事」に対する当人の「受け取り方や捉え方」です。
その結果、ストレス反応に違いが生じるのだと吉野さんは話します。これは米国の臨床心理学者、アルバート・エリスの「ABC理論」(「論理療法」という心理療法の1つ、図3)として知られています。
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例えば、仕事で成果が出なかったとしても、「これはチャンスだ」「失敗に終わったが、次につながる課題が見つかった」「これ以上の試練はないはずだから、ここから頑張ってみよう!」など、前向きに捉える人はストレスに強い。つまりポジティブ思考であるか否か。

逆に「結果が出ないことは恥ずかしい」「なんて自分はダメなんだ」と後ろ向きに捉える人は気持ちが沈み、ストレスに弱いケースが多いという。

物の感じ方・捉え方は、性格や育った環境によるものも大きいが、トレーニング次第で変えることは可能だと吉野さんは話します。

「ただし、『出来事』には自分でコントロールできること、できないことがあります。コントロールできないことに時間を費やし、悩んだり不安に思ったりしてもムダ。コントロールできることだけを合理的に考えて行動する。実際に日々の仕事の達成感や、自己成長の感覚を大切にする人ほど、激務を乗り切り、結果も出しているように思います」(吉野さん)

合理的な思考に転換する習慣とは?

とはいえ、適切な睡眠時間を確保できないほどの労働は健康障害の原因になり、合理的な考え方ができなくなれば本末転倒。
そうなると、メンタルヘルス不調のリスクが高まります。吉野さんは「5~6時間といった最低限度の睡眠時間を確保し、睡眠の質を高めることが大事。その上で、『ストレスに強くなる習慣』を持てばいい」と話す。
「その1つが、非合理な考え方から合理的な思考に転換する習慣です」(吉野さん)。

具体的には、普段の生活で、ネガティブな言葉を自身の中でポジティブな言葉に置き換えるトレーニングが有効だといいます。

精神科医のデビッド・D・バーンズ氏が提唱する非合理な考え方の代表例「10種類の認知の歪み」から、吉野さんが典型的な転換方法を教えました(図4)。
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「他己」評価ではなく自己評価で生きる

「非合理な考え方をする人は、他人から自分はどう見られているかを気にする人が多い。しかし、評価する人の性格や機嫌、体調、状況次第で評価は変わり、その評価は絶対的なものではありません」(吉野さん)

「結果が悪かったとしても、『自分の努力が足りなかった』と気づくだけでも自己成長につながり、成功だと考えることもできる。結局、結果に対して『成功か失敗か』は自分で決めればよくて、ストレスで心を病まないためには、『他己』評価ではなく自己評価で生きることが重要だと思います」(吉野さん)
◆◆◆吉野聡さん◆◆◆

吉野聡産業医事務所代表・新宿ゲートウェイクリニック院長、精神科産業医。2003年筑波大学医学専門学群卒業、2007年筑波大学大学院人間総合科学研究科修了。東京都知事部局健康管理医、筑波大学医学医療系助教・付属学校教育局統括産業医などを経て、2012年吉野聡産業医事務所を設立。50社以上の企業の産業医として従事。『「職場のメンタルヘルス」を強化する』(ダイヤモンド社)など著書多数。
【参照記事】
掲載元:NIKKEI STYLE
URL: https://style.nikkei.com/article/DGXMZO21776670S7A001C1000000?channel=DF140920160927

【調査概要】
調査内容:ストレスに関する調査
調査会社:.answer
調査方法:インターネット調査
調査期間:2019年9月11日